聖隷三方原病院 高度救命救急センター    ドクターヘリのブログ

静岡県西部地区でドクターヘリを運営している 聖隷三方原病院 高度救命救急センターのブログです.

日没まで40分

救命救急センター 救急科 志賀です。

久しぶりのブログ更新になります。

(当ブログは、ドクターヘリ医療スタッフの有志が分担して担当しています。フライトドクターもフライトナースも交替勤務なので、中々更新出来ない状況もございます。今後も無理の無い範囲で情報発信して参ります、引き続きご覧頂けましたら幸いです)。

本日のドクターヘリ医療スタッフは志賀・仲間先生(OJT/消化器内科)・鈴田NSです。

日中は要請無く、医療スタッフはER業務に従事。もうすぐスタンバイ終了、勤務交替前の病棟患者さんの申し送りの最中にドクターヘリホットライン。本日は快晴ですがやや風が強めのため、運航スタッフ間で天候状況を確認後にドクターヘリエンジンスタート。要請元である牧之原市に向かいます。救急隊現着前の要請、高エネルギー外傷事案です。

要請は16:32。本日の日没は17:12。日没までにヘリは現場を離陸しなければなりません。往路の飛行時間+現場活動のリミットは丁度40分です。管内に患者さんを搬送するならヘリ搬送は不可です。陸路のみとなるため、搬送にある程度時間を要します。搬送時間の短縮を優先して患者さんをヘリ搬送するなら、夜間照明設備のある基地病院のみが選択肢です。

時間経過をザッと計算すると「医療スタッフの現場投入のみ」となる見込みです。これを前提に消防機関と調整を進め、また機内全スタッフで方針を共有します。

ヘリは現場上空に到着。当初は現場最寄りの学校グランドに着陸し、消防車両ピックアップ方式で現場に向かう方針で調整していました。しかし、上空から検索すると現場直近の田畑に着陸適地を視認。こちらに着陸の方針とし、より早期に患者さんへの接触を目指します。

ヘリ着陸後、スタッフは田畑を100m程走って救急車に向かいます。

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合流後の救急車内活動は仲間先生と鈴田さんと2人で進め、志賀は連絡と調整を行ないます。

日没が迫っていることもあり、出動救急隊は患者さんの搬送先として既に、近隣の救急医療機関に収容依頼を済ませていました。

患者さんの生活圏を考えると、搬送先は浜松市(県西部)よりは地元の県中部が望ましいと判断。搬送にある程度の時間を要することも踏まえつつ、手配済みの医療機関に陸路搬送の方針としました。

搬送時間は陸路で35~40分の見込みです。搬送中の状態悪化の可能性もあり、医師看護師同乗とします。当初は医療スタッフ3名の同乗を考えましたが、患者さんのご家族もおられ、救急車の定員の関係で3名の同乗は出来ません。そこで患者さんの搬送は仲間先生と鈴田さんに任せることに。志賀はヘリで基地病院に一足先に帰投し、本来の「ヘリ日勤→準夜前半ER勤務」つまり夜勤に入ります。

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仲間先生と鈴田さんは、患者さんを陸路で近隣医療機関に搬送。その後はタクシーで基地病院に帰投しました。

本件における、消防機関のヘリ要請の判断とタイミングは非常に適切であったと感じます。更に日没が迫っていることも踏まえて、「医療スタッフの現場投入→陸路搬送」を見越して収容医療機関の手配も済ませていました。良い意味で消防機関の敷いたレールの上で私達が活動しており、「ヘリを使うのが上手い」と素直に感じました。

夕刻の要請のためヘリ搬送による搬送時間の短縮は果たせませんでしたが、それでも最短の時間経過で、患者さんをトラブル無く近隣の医療機関に搬送することが出来たと思います。関連された全ての皆様、本当にお疲れ様でした。そして患者さんの順調な回復を心から祈念致します。

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